2016年11月08日

自由貿易協定と為替

為替市場は平常運転、アメリカ大統領選の前といったこともあり、動かない状態です。本格的な動きは、12月のアメリカFOMCのあとでしょうか。原油市場は44ドル台と大きく落ち込んでいます。OPEC各国の減産合意がまとまらないようで、結局は落ち着くところに落ち着いたようです。


アメリカ大統領選挙が話題のようなので、その焦点の一つである貿易の話です。
一般にある地域同士の貿易が始まると、その両地域の交易条件が向上する(短期では悪化する場合が多いけれど)ため、その両地域の為替は上昇しやすくなります。例えば、先日、EUとカナダとで貿易協定が結ばれましたが、これは、ユーロ、カナダドルともに他通貨と比べ、上昇しやすくなるとこを意味します。
しかし、実際には、交易条件の改善は数年から十年以上かけ行われるため、例え、長期的にこれらの通貨が上昇したとしても、それが、この協定が理由として挙げられることはないでしょう。協定による経常収支の改善が、一番為替に近い経済指標の変化になりますが、気付かれることはかなり稀なことだと思います。

逆のパターンを考えます。ある地域の貿易が終了する場合です。例えば経済制裁などです。この場合は、その経済制裁を受けた地域が交易条件が悪化するため、為替には下落圧力がかかることになります。そして、場合にもよりますが、貿易が一気に閉ざされるようですと、為替の下落もかなり速い速度で進行すると考えられます。
イギリスのEU離脱はどうでしょうか。貿易が全くなくなる訳では無いですが、EU圏への輸出に関税がかかり、輸出量の減少が考えられます。当然EU圏からの輸入も減少すると思われます。イギリスの主力産業である、金融業のサービス手数料にも関税がかかるようなので大事です。これらが、交易条件の悪化の要因になり、為替に悪影響、ポンドの下落につながると思われます。実際の交易条件の悪化には時間がかかりそうですが、為替市場は先に反応を示しているようです。



今回の米大統領選挙でトランプ候補が主張する、NAFTAの離脱・解体というのは、メキシコ・カナダだけで無く、アメリカに交易条件の悪化、すなわち、国を貧しくさせることを意味します。このような貿易の問題を、貿易の停止という手段で解決しようとするのは悪手です。世界最大の貿易圏というアドバンテージを自らの手で壊すというのは、なんとももったいないようなことに思います。


posted by いわくら at 18:29 | Comment(0) | TrackBack(0) | コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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