2016年11月22日

メキシコペソは割安か

為替相場も、幾分かは落ち着きを取り戻しつつあります。しかし平常運転という環境ではなく、ボラティリティは高い状態が継続しています。


今回の大統領選挙でもっとも影響を受けている通貨と言えば、メキシコペソです。大統領選挙当日には、対ドルで10%以上の下落を見せ、その後も不安定な値動きとなっています。下落幅が大きくなり、さすがに割安水準と思われますが、どうでしょうか。

現状の水準感を見るため、直近と過去の下落局面での、メキシコペソの実質実効為替レートを見ていきます。1994年以降で大きな下落は5回あり、今回が6回目です。

・過去のメキシコペソの主な下落局面での実質実効為替レート
   68.6   (1995-01)  テキーラ危機・メキシコ通貨危機
   87.6   (1998-09)
 101.5   (2006-06)
   85.5   (2009-02) リーマンショック
   88.9   (2012-06)
   76.2   (2016-10) 先月

 元データはBIS
 1994-04からの平均を100とする。

ご覧のように、過去の値と比較しても、先月時点ですでに、低い値になっていることがわかります。当然大統領選挙後の動きは含まれていませんので、現状はさらに低い値になっていると考えられます。1995年テキーラ危機については詳しくは無いのですが、そのときの水準に近づいています。

次に経常収支を見ていきます。
昨年2015年のメキシコの経常収支は、対GDP比2.8%の赤字です。これは、リーマンショック後では最大の赤字幅で、水準としても、決してい小さくないものです。この後の今年になってから発表されている経常収支の額も、大きめな赤字が続いており、今年の経常収支も大幅な赤字が継続すると推測されます。
メキシコは慢性的に経常赤字国であり、通貨が大幅に下落した後に、一時経常黒字になることはありましたが、それが長く続くことはありませんでした。現在の経常赤字の主な原因は原油価格の下落(原油生産量自体も減少しています。)なのですが、資本・債務面で外国からの依存度が高く、対外債務の急増が、さらに経常収支を悪化させる原因になっていて、こちらも心配です。

その他経済指標では、失業率は4%前後で安定、政策金利は、緊縮的なものとなっています。



結論ですが、贅沢をいえば、経常収支の改善を確認したいところです。原油価格は大幅下落は想定しにくいですし、観光客の増加などの、為替安のメリットは受けやすい環境だと思われます。数字として表れるのは、半年後・1年後になるでしょうが、経常収支の改善を想定して、上昇の可能性が高いと予想します。少なくても、短・中期的な反発・調整はあるのではないでしょうか(確信が無いなぁ・・・・)。
そして、問題はその後です。メキシコ経済に、大きく成長する産業が見えません、シェールガスの埋蔵が確認されているため、この辺りが成長余地が残っている産業でしょうか。長期的な動きは、また別の話になりそうです。


トランプ氏の政策は確定できないところですが、メキシコに大幅な関税をかけることや、NAFTAの大幅な変更は、デメリットが大きく、共和党議会側との調整が難しいため、選択できないものと想定しています。
メキシコペソは、アメリカへの依存が大変大きな通貨です。今後もアメリカの政治状況が、為替予想の鍵になることは間違えなさそうです。


posted by いわくら at 13:41 | Comment(0) | TrackBack(0) | コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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