2016年11月29日

ユーロの下値は限定的か

ドルインデックスも反転の兆しを見せ、相場には一服感があります。先物ポジションも円ショート玉が減少しているので、この辺りが、ドルの上値目途なのかもしれません。


大統領選挙関連の材料はそろそろ尽きてきそうなので、目先を変えて、欧州です。来月にはイタリアの国民投票が控え、そのほかにも、フランスやオーストリアの選挙が、注目されています。ユーロからの離脱や、不良債権処理の進め方など、経済に与えるインパクトが大きなものがテーマになっています。

ユーロの値動きですが、2011年のギリシャ危機を乗り越えた後は、安定した値動きでした。その後2013年頃から、ECBドラギ総裁が量的緩和を進め、下落を強めました。今年はどちらかというと上昇している状況でしたが、アメリカ大統領選挙後には大きく値を崩しています。
ユーロインデックス(EXY)を見てみますと、現在106.1という値です。今年後半は110〜114付近でいる場合が多かったことを考えると、大統領選挙後の下げ幅は、6%程度となっています。ちなみに現在の106.1という値は、ユーロ発足後の最安値近辺です。

経済の方は、良くも無く、悪くも無くといったところでしょうか。失業率は10%で高位安定、経常収支は黒字幅が拡大中です。たぶん、内需で雇用を生み出せば良いという環境に見えますが、失業率が高い地域が局地的に存在するために、難しいのでしょう。また、イタリアを中心に、不良債権処理の断行中です。これが雇用や、貿易指標に与える影響は推定が難しいところです。

現状のユーロ水準は、政治リスクを織り込み、低めの値動きになっていると思われます。選挙結果如何ではもう一段の下落もありますが、貿易系の指標を見る限り、ここからの大幅な下落は、考えにくいものです。しかし、その逆の状態であったアメリカドルが上昇するなど、為替は短期的な動きについては不安定なものになる可能性もあります。


そろそろ今年を振り返る時期になりますが、今年はつくづく政治に為替が振り回されました。年末に欧州危機というのは、さすがに勘弁していただきたいものです。


タグ:ユーロ EUR
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2016年11月22日

メキシコペソは割安か

為替相場も、幾分かは落ち着きを取り戻しつつあります。しかし平常運転という環境ではなく、ボラティリティは高い状態が継続しています。


今回の大統領選挙でもっとも影響を受けている通貨と言えば、メキシコペソです。大統領選挙当日には、対ドルで10%以上の下落を見せ、その後も不安定な値動きとなっています。下落幅が大きくなり、さすがに割安水準と思われますが、どうでしょうか。

現状の水準感を見るため、直近と過去の下落局面での、メキシコペソの実質実効為替レートを見ていきます。1994年以降で大きな下落は5回あり、今回が6回目です。

・過去のメキシコペソの主な下落局面での実質実効為替レート
   68.6   (1995-01)  テキーラ危機・メキシコ通貨危機
   87.6   (1998-09)
 101.5   (2006-06)
   85.5   (2009-02) リーマンショック
   88.9   (2012-06)
   76.2   (2016-10) 先月

 元データはBIS
 1994-04からの平均を100とする。

ご覧のように、過去の値と比較しても、先月時点ですでに、低い値になっていることがわかります。当然大統領選挙後の動きは含まれていませんので、現状はさらに低い値になっていると考えられます。1995年テキーラ危機については詳しくは無いのですが、そのときの水準に近づいています。

次に経常収支を見ていきます。
昨年2015年のメキシコの経常収支は、対GDP比2.8%の赤字です。これは、リーマンショック後では最大の赤字幅で、水準としても、決してい小さくないものです。この後の今年になってから発表されている経常収支の額も、大きめな赤字が続いており、今年の経常収支も大幅な赤字が継続すると推測されます。
メキシコは慢性的に経常赤字国であり、通貨が大幅に下落した後に、一時経常黒字になることはありましたが、それが長く続くことはありませんでした。現在の経常赤字の主な原因は原油価格の下落(原油生産量自体も減少しています。)なのですが、資本・債務面で外国からの依存度が高く、対外債務の急増が、さらに経常収支を悪化させる原因になっていて、こちらも心配です。

その他経済指標では、失業率は4%前後で安定、政策金利は、緊縮的なものとなっています。



結論ですが、贅沢をいえば、経常収支の改善を確認したいところです。原油価格は大幅下落は想定しにくいですし、観光客の増加などの、為替安のメリットは受けやすい環境だと思われます。数字として表れるのは、半年後・1年後になるでしょうが、経常収支の改善を想定して、上昇の可能性が高いと予想します。少なくても、短・中期的な反発・調整はあるのではないでしょうか(確信が無いなぁ・・・・)。
そして、問題はその後です。メキシコ経済に、大きく成長する産業が見えません、シェールガスの埋蔵が確認されているため、この辺りが成長余地が残っている産業でしょうか。長期的な動きは、また別の話になりそうです。


トランプ氏の政策は確定できないところですが、メキシコに大幅な関税をかけることや、NAFTAの大幅な変更は、デメリットが大きく、共和党議会側との調整が難しいため、選択できないものと想定しています。
メキシコペソは、アメリカへの依存が大変大きな通貨です。今後もアメリカの政治状況が、為替予想の鍵になることは間違えなさそうです。


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2016年11月19日

買いたい通貨・売りたい通貨 2016/11/19

ドルインデックスが101ポイントを超え、リーマンショック後の最高値を更新中です。こうなるとアメリカドルの高値はしばらくは続くのかなとも考えられます。しばらくがいつまでなのかは、判断が難しいところです。
アメリカドルは水準的には高値と考えて間違えないでしょう。しかし、長期金利の上昇というのは、単・中期での買い材料としては、かなり大きなものです。


予想の難しい相場環境ですが、主に長期視点での為替予想をしていきます。
実はあまり相場観(資源価格の上昇が今後の相場の基本になる)を変化させず、しばらくは、アメリカドルよりも、資源価格を見ていきたいと思っています。


☆買いたい通貨

・ブラジルレアル(BRL)
春先までの低迷はとりあえず脱し、その後は堅調。直近の安値は押し目買いのチャンスでしょう。資源価格がどうなるかで方向性が決まるところですが、極端に悪化することは無いと思われます。

・メキシコペソ(MXN)
最近の大幅下落は、さすがに安すぎ。そのうち別記事にします。

・ロシアルーブル(RUB)
代表的な産油国通貨。アメリカドルの動きよりも、原油価格への依存が高くなります。長期的な視点で、仕込み時でしょう。

・ノルウェークローネ(NOK)
原油よりも、天然ガスへの依存が高い、先進資源国通貨です。足下での経済悪化の影響が大きいため、ロシアルーブルよりも長期目線で買いたいところです。

・ユーロ(EUR)
特に強調する材料は無いですが、アメリカドル高の反動で、売られています。マイナス金利のため、キャリートレードの調達通貨となっているような感じでしょうか。、今が買い時では無い(この後もっと下落する)可能性も高いのですが、大きく落ちたときに、少しずつ買い増していきたい通貨です。


☆売りたい通貨

・ニュージーランドドル(NZD)
資源国の中で、水準的に割高な通貨です。エネルギー価格の上昇に弱く、鉱物資源なども乏しいため、今後は厳しいかなと思われます。現在は実質金利が高いのですが、利下げ方向なのも気がかりです。

・トルコリラ(TRY)
値上がり要因が特にないのが弱み。経常赤字が大きく、投資資金が引き上げられる段階では、大きな下落が心配されます。輸出工業品の価格推移も要注意です。

・ポーランドズロチ(PLN)
トルコリラほどは割高感は無いのですが、こちらも値上がり要素が弱いかなと思われます。エネルギー価格の上昇とともに、割高感が強調されそうです。


☆その他
中国人民元(CNY)は、長期的には売りでいいような気がしてますが、今では無い。南アフリカランド(ZAR)は、貴金属価格の影響が大きいため、今までのようには上昇しにくいと思います。日本円(JPY)は直近はやや割安かもしれませんが、こういう地合なので食指が伸びません。



アメリカドルの上値については正直わかりません。少なくとも今は天井が見えてはいない状態だと思います。アメリカドルを売っていた資金が、巻き戻っている、ドルキャリートレードの巻き戻りが起きていると推測しているのですが、なんというか、確証が無いというか、相場が見えていないというか・・・・・時間軸が・・・・・


市場は、為替・株式・債券とそれぞれ騒がしいのですが、実経済には影響がない段階です。一番最初に聞いてくるのは、債券金利の上昇。債務の多い企業・対外債務の大きな国家の動向が今後の鍵になりそうです。


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2016年11月14日

とりあえずの現状認識とその先

先週まで、あれだけ大人しかった為替市場ですが、アメリカ大統領選挙をきっかけに動きをはじめした。まったく頭が整理できていない状況ですが、とりあえずの相場観です。今回は相当に難しい。


今回の値動きで特徴的なのは、長期金利の上昇です。アメリカの10年国債金利は、0.3ポイント程度急上昇になりました。トランプ氏の公約である、公共事業の拡張と減税は、どちらも国債の増加を必要とするため、国債の価値低下、金利の上昇となりました。
また、新興国通貨の下落が大きくなっています。メキシコペソは仕方ないですが、ブラジルレアル・南アフリカランド・ロシアルーブルといった新興資源国の下落幅が特に目立ちます。これは、相場の不確実性に伴う投資資金の先進国への回帰のほか、アメリカ長期金利上昇による、キャリートレードの減少・ドル建て国債の利払い増加懸念、資源価格の下落など複合的なものだと思われます。どちらにせよ、新興国通貨にはつらい状況です。

今後の動きについては、いかんせんアメリカドルの動きが、とても読みにくく、為替相場は不確実性の極みみたいなものになりそうです。しばらくは、ポジションを減らし、静観するのが、無難といいますか、正しい選択だと思います。
基本的には、アメリカドルは長期的な高値圏にあると感じていますが、トランプ氏の政策は、短期的にはアメリカへ資金を集めやすくするものだと思います。アメリカドル高が延命し、さらに上昇する可能性もありそうです。
長期金利が上昇したのは、相場が転換した証です。金利のつかない、貴金属は売られやすいでしょう。南アフリカランドは危険な状態かもしれません。
中長期的に見た場合には、アメリカドルは歴史的な割高になる可能性もあります。この場合は、ブラジルレアルやロシアルーブルにとっては、ものすごい買い場が訪れているのかもしれません。


白状しますと、私はアメリカの大統領選挙は為替に与える影響はあまりなく、今年の相場はこのまま、来年は、年後半にアメリカドル安、エネルギー輸出国通貨高でわかりやすい年になると考えていました。まったくの油断です。
もうすぐ来年の相場予想を始めたい頃合いになりますが、かなり厳しいものになりそうです。その前に、各種データや相場観の再点検をしていきたいと思います。

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2016年11月08日

自由貿易協定と為替

為替市場は平常運転、アメリカ大統領選の前といったこともあり、動かない状態です。本格的な動きは、12月のアメリカFOMCのあとでしょうか。原油市場は44ドル台と大きく落ち込んでいます。OPEC各国の減産合意がまとまらないようで、結局は落ち着くところに落ち着いたようです。


アメリカ大統領選挙が話題のようなので、その焦点の一つである貿易の話です。
一般にある地域同士の貿易が始まると、その両地域の交易条件が向上する(短期では悪化する場合が多いけれど)ため、その両地域の為替は上昇しやすくなります。例えば、先日、EUとカナダとで貿易協定が結ばれましたが、これは、ユーロ、カナダドルともに他通貨と比べ、上昇しやすくなるとこを意味します。
しかし、実際には、交易条件の改善は数年から十年以上かけ行われるため、例え、長期的にこれらの通貨が上昇したとしても、それが、この協定が理由として挙げられることはないでしょう。協定による経常収支の改善が、一番為替に近い経済指標の変化になりますが、気付かれることはかなり稀なことだと思います。

逆のパターンを考えます。ある地域の貿易が終了する場合です。例えば経済制裁などです。この場合は、その経済制裁を受けた地域が交易条件が悪化するため、為替には下落圧力がかかることになります。そして、場合にもよりますが、貿易が一気に閉ざされるようですと、為替の下落もかなり速い速度で進行すると考えられます。
イギリスのEU離脱はどうでしょうか。貿易が全くなくなる訳では無いですが、EU圏への輸出に関税がかかり、輸出量の減少が考えられます。当然EU圏からの輸入も減少すると思われます。イギリスの主力産業である、金融業のサービス手数料にも関税がかかるようなので大事です。これらが、交易条件の悪化の要因になり、為替に悪影響、ポンドの下落につながると思われます。実際の交易条件の悪化には時間がかかりそうですが、為替市場は先に反応を示しているようです。



今回の米大統領選挙でトランプ候補が主張する、NAFTAの離脱・解体というのは、メキシコ・カナダだけで無く、アメリカに交易条件の悪化、すなわち、国を貧しくさせることを意味します。このような貿易の問題を、貿易の停止という手段で解決しようとするのは悪手です。世界最大の貿易圏というアドバンテージを自らの手で壊すというのは、なんとももったいないようなことに思います。


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2016年10月28日

アメリカドルインデックス上昇中

アメリカドルが好調です。大きな動きではないですが、堅調に推移。アメリカドルインデックスは一時99ポイントを超え、現在も98ポイント台です。

アメリカドルインデックスは年初から弱含み、4月に93.05(日足)まで下落しましたが、それ以降は堅調。現在はそこからおよそ6ポイント上昇した水準で、今年の1月の値まで戻しています。
この水準はリーマンショック後の最高値付近です。

好調の原因は、当然年末12月のFOMCでの利上げ期待です。この政策金利の変更を、市場が織り込みました。
利上げの要因になる、雇用は問題がなく、足元の景気も個人消費を中心に好調。資源国・新興国経済の回復を受け、輸出型製造業にも明るい話題がありそうです。7-9の企業業績は、予想よりも上方への変更が多く、来年にかけて、利益が拡大するとの予想が増えています。


しかし、中長期的に見ると、このあたりが高値の目処かなと思われます。経常収支や交易条件を見る限り、アメリカドルの上昇の理由は弱く、今後、資源価格が上昇することで、アメリカの交易条件が悪化、信用供給が増加しなくなる段階で、個人消費や企業業績が頭打ちになると考えられます。現水準でも、輸出企業にとっては、厳しい状態であると考えられます。
短期的に、大幅下落ということはないのでしょうが、来年年明けとともに下落が始まる可能性は考えておいていいのかなと思います。利上げ自体もこの12月が当面の最後になる可能性は十分に見ておく必要がありそうです。


posted by いわくら at 12:34 | Comment(0) | TrackBack(0) | コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2016年10月23日

不良債権処理と為替

最近の個人的な関心といいますか、研究課題が、不良債権処理と為替と関係性です。


イタリアの銀行の不良債権の処理が進み始めたようですが、これが為替にどのような影響するのかが、わかっていません。足元のユーロ安傾向は本質的には関係ないと思うのですが、不安です。
失業率が高いというならば、失業率を低下させるために、海外から仕事を呼び込む→金融緩和を利用した為替安に誘導 のような簡素な理屈でいいと考えられるのですが、不良債権の場合はもう少し複雑な感じがします。

例えば中国の不良債権の場合は、輸出型の製造業が、人件費高騰のため、競争力を失ったことで不良債権化しました。こういった企業を倒産させますと、輸出の減少、経常収支の悪化、為替安の流れが考えられます。これが基本かなと思われます。
内需系の企業の場合はどうでしょうか。貿易への影響はなく、失業率の悪化から為替安でいいような気もするのですが、そのあたりの処理が確定できません。不良債権処理により、生産性が改善されるため、新たな失業が産業を生み、輸出を生むようなことも考える必要があるのかもしれませんが、長期的なことでしょう。


イタリアの不良債権は、不動産や小売、流通といった。内需系の企業が中心のようです。為替も統一通貨のため、この影響がユーロ圏内の実経済への影響と、ユーロ自体への影響が、どうなるのかも考える必要があり、影響を見定めたいところです。
日本やアメリカ、英国の不良債権処理の場合は、先に緩和的な金融政策をとり、為替が下落させた後に、処理を行っているように見えます。これが、基本的なやり方なのかもしれません。ECBはすでに緩和的な政策を採っていますが、更なる緩和というのは可能なのでしょうか・・・・・・。

不良債権の為替に与える影響が大きいのならば、当然もっと詳しく知りたいのですが、如何せん、この関連についての情報がありません。せめて、不良債権と経常収支の関連が分かるとありがたいのですが、このあたりの研究は苦労しそうです。
ユーロ圏も中国も経常黒字国ですが、この値が、不良債権によって化粧された数字であると考えると、現状はもう少し割愛してみる必要がありそうです。

posted by いわくら at 12:35 | Comment(0) | TrackBack(0) | コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする