2016年11月14日

とりあえずの現状認識とその先

先週まで、あれだけ大人しかった為替市場ですが、アメリカ大統領選挙をきっかけに動きをはじめした。まったく頭が整理できていない状況ですが、とりあえずの相場観です。今回は相当に難しい。


今回の値動きで特徴的なのは、長期金利の上昇です。アメリカの10年国債金利は、0.3ポイント程度急上昇になりました。トランプ氏の公約である、公共事業の拡張と減税は、どちらも国債の増加を必要とするため、国債の価値低下、金利の上昇となりました。
また、新興国通貨の下落が大きくなっています。メキシコペソは仕方ないですが、ブラジルレアル・南アフリカランド・ロシアルーブルといった新興資源国の下落幅が特に目立ちます。これは、相場の不確実性に伴う投資資金の先進国への回帰のほか、アメリカ長期金利上昇による、キャリートレードの減少・ドル建て国債の利払い増加懸念、資源価格の下落など複合的なものだと思われます。どちらにせよ、新興国通貨にはつらい状況です。

今後の動きについては、いかんせんアメリカドルの動きが、とても読みにくく、為替相場は不確実性の極みみたいなものになりそうです。しばらくは、ポジションを減らし、静観するのが、無難といいますか、正しい選択だと思います。
基本的には、アメリカドルは長期的な高値圏にあると感じていますが、トランプ氏の政策は、短期的にはアメリカへ資金を集めやすくするものだと思います。アメリカドル高が延命し、さらに上昇する可能性もありそうです。
長期金利が上昇したのは、相場が転換した証です。金利のつかない、貴金属は売られやすいでしょう。南アフリカランドは危険な状態かもしれません。
中長期的に見た場合には、アメリカドルは歴史的な割高になる可能性もあります。この場合は、ブラジルレアルやロシアルーブルにとっては、ものすごい買い場が訪れているのかもしれません。


白状しますと、私はアメリカの大統領選挙は為替に与える影響はあまりなく、今年の相場はこのまま、来年は、年後半にアメリカドル安、エネルギー輸出国通貨高でわかりやすい年になると考えていました。まったくの油断です。
もうすぐ来年の相場予想を始めたい頃合いになりますが、かなり厳しいものになりそうです。その前に、各種データや相場観の再点検をしていきたいと思います。

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2016年11月08日

自由貿易協定と為替

為替市場は平常運転、アメリカ大統領選の前といったこともあり、動かない状態です。本格的な動きは、12月のアメリカFOMCのあとでしょうか。原油市場は44ドル台と大きく落ち込んでいます。OPEC各国の減産合意がまとまらないようで、結局は落ち着くところに落ち着いたようです。


アメリカ大統領選挙が話題のようなので、その焦点の一つである貿易の話です。
一般にある地域同士の貿易が始まると、その両地域の交易条件が向上する(短期では悪化する場合が多いけれど)ため、その両地域の為替は上昇しやすくなります。例えば、先日、EUとカナダとで貿易協定が結ばれましたが、これは、ユーロ、カナダドルともに他通貨と比べ、上昇しやすくなるとこを意味します。
しかし、実際には、交易条件の改善は数年から十年以上かけ行われるため、例え、長期的にこれらの通貨が上昇したとしても、それが、この協定が理由として挙げられることはないでしょう。協定による経常収支の改善が、一番為替に近い経済指標の変化になりますが、気付かれることはかなり稀なことだと思います。

逆のパターンを考えます。ある地域の貿易が終了する場合です。例えば経済制裁などです。この場合は、その経済制裁を受けた地域が交易条件が悪化するため、為替には下落圧力がかかることになります。そして、場合にもよりますが、貿易が一気に閉ざされるようですと、為替の下落もかなり速い速度で進行すると考えられます。
イギリスのEU離脱はどうでしょうか。貿易が全くなくなる訳では無いですが、EU圏への輸出に関税がかかり、輸出量の減少が考えられます。当然EU圏からの輸入も減少すると思われます。イギリスの主力産業である、金融業のサービス手数料にも関税がかかるようなので大事です。これらが、交易条件の悪化の要因になり、為替に悪影響、ポンドの下落につながると思われます。実際の交易条件の悪化には時間がかかりそうですが、為替市場は先に反応を示しているようです。



今回の米大統領選挙でトランプ候補が主張する、NAFTAの離脱・解体というのは、メキシコ・カナダだけで無く、アメリカに交易条件の悪化、すなわち、国を貧しくさせることを意味します。このような貿易の問題を、貿易の停止という手段で解決しようとするのは悪手です。世界最大の貿易圏というアドバンテージを自らの手で壊すというのは、なんとももったいないようなことに思います。


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2016年10月28日

アメリカドルインデックス上昇中

アメリカドルが好調です。大きな動きではないですが、堅調に推移。アメリカドルインデックスは一時99ポイントを超え、現在も98ポイント台です。

アメリカドルインデックスは年初から弱含み、4月に93.05(日足)まで下落しましたが、それ以降は堅調。現在はそこからおよそ6ポイント上昇した水準で、今年の1月の値まで戻しています。
この水準はリーマンショック後の最高値付近です。

好調の原因は、当然年末12月のFOMCでの利上げ期待です。この政策金利の変更を、市場が織り込みました。
利上げの要因になる、雇用は問題がなく、足元の景気も個人消費を中心に好調。資源国・新興国経済の回復を受け、輸出型製造業にも明るい話題がありそうです。7-9の企業業績は、予想よりも上方への変更が多く、来年にかけて、利益が拡大するとの予想が増えています。


しかし、中長期的に見ると、このあたりが高値の目処かなと思われます。経常収支や交易条件を見る限り、アメリカドルの上昇の理由は弱く、今後、資源価格が上昇することで、アメリカの交易条件が悪化、信用供給が増加しなくなる段階で、個人消費や企業業績が頭打ちになると考えられます。現水準でも、輸出企業にとっては、厳しい状態であると考えられます。
短期的に、大幅下落ということはないのでしょうが、来年年明けとともに下落が始まる可能性は考えておいていいのかなと思います。利上げ自体もこの12月が当面の最後になる可能性は十分に見ておく必要がありそうです。


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2016年10月23日

不良債権処理と為替

最近の個人的な関心といいますか、研究課題が、不良債権処理と為替と関係性です。


イタリアの銀行の不良債権の処理が進み始めたようですが、これが為替にどのような影響するのかが、わかっていません。足元のユーロ安傾向は本質的には関係ないと思うのですが、不安です。
失業率が高いというならば、失業率を低下させるために、海外から仕事を呼び込む→金融緩和を利用した為替安に誘導 のような簡素な理屈でいいと考えられるのですが、不良債権の場合はもう少し複雑な感じがします。

例えば中国の不良債権の場合は、輸出型の製造業が、人件費高騰のため、競争力を失ったことで不良債権化しました。こういった企業を倒産させますと、輸出の減少、経常収支の悪化、為替安の流れが考えられます。これが基本かなと思われます。
内需系の企業の場合はどうでしょうか。貿易への影響はなく、失業率の悪化から為替安でいいような気もするのですが、そのあたりの処理が確定できません。不良債権処理により、生産性が改善されるため、新たな失業が産業を生み、輸出を生むようなことも考える必要があるのかもしれませんが、長期的なことでしょう。


イタリアの不良債権は、不動産や小売、流通といった。内需系の企業が中心のようです。為替も統一通貨のため、この影響がユーロ圏内の実経済への影響と、ユーロ自体への影響が、どうなるのかも考える必要があり、影響を見定めたいところです。
日本やアメリカ、英国の不良債権処理の場合は、先に緩和的な金融政策をとり、為替が下落させた後に、処理を行っているように見えます。これが、基本的なやり方なのかもしれません。ECBはすでに緩和的な政策を採っていますが、更なる緩和というのは可能なのでしょうか・・・・・・。

不良債権の為替に与える影響が大きいのならば、当然もっと詳しく知りたいのですが、如何せん、この関連についての情報がありません。せめて、不良債権と経常収支の関連が分かるとありがたいのですが、このあたりの研究は苦労しそうです。
ユーロ圏も中国も経常黒字国ですが、この値が、不良債権によって化粧された数字であると考えると、現状はもう少し割愛してみる必要がありそうです。

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2016年10月17日

ゾンビ企業の淘汰が始まった

為替市場は相変わらず、平穏な日々が続いています。材料もなく、このまま年を越しそうです。とういうのはさすがに早い気がするので、材料があった中国の話です。


中国の製造業に動きが出てきているようです。先週発表された経済指標で、貿易黒字が縮小、生産者物価(PPI)が小幅上昇となりました。PPIがプラスになったのは4年ぶりです。
要因としましては、不良債権の処理、つまり過剰設備を持ったゾンビ企業の淘汰が進んだことにあると思われます。それにより、輸出が減少し、さらに供給量が減ったことで、価格が上昇を始めたと考えられます。過剰といわれていた産業のうち、鉄鋼業界のニュースが増えていましたので、このあたりが、削減の対象になったものと思われます。当然、人的資源の削減も含まれるため、中国共産党政府の許可が必要で、この問題に対して、中国政府が本格的に対応を始めたということになりそうです。

中国の過剰設備に関しましたは、鉄鋼・セメント・石炭などの川上産業で顕著で、これらの産業では、供給過剰感が強く、中国企業が赤字のまま生産を続けていることが、不当な値引き支援になると、国際的に非難を浴びていました。雇用の問題が避けて通れないため、あまり積極的に動けていなかった印象ですが、金融機関の採算の悪化が表面化し、不良債権の処理に踏み切ったと考えられます。
中国政府指導部内では昨年あたりから問題が認識されていた印象ですが、今年に入ってからは不良債権の処理が必須との意見が増えていました。

今後は、この不良債権の削減規模か拡大していくと予想されます。川上産業だけではなく、不動産・インフラ建設といった内需系の川下産業も対象になっていくでしょう。百貨店の閉鎖のニュースも出ていますが、これも過剰設備削減の一環と考えると自然な動きです。
中国の不良債権の規模に関しては、様々な推測があり、情報も錯綜していますが、かなりの規模であることは間違いなさそうです。これの処理が進むことになりますと、世界経済に与える影響は甚大なものです。中国国内の雇用・労働環境に影響があるため、信用・消費がどのように動きになるのか注目が必要になりそうです。


不良債権の処理は、中国だけでなく、欧州や資源国・多くの途上国でも必要なことで、今後こういった事例が増えていくことが考えられます。為替への影響は難しいところがありますが、流れについていきたいところです。


タグ:中国 CNY
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2016年10月12日

為替は原油で動く 前哨戦

OPECの減産合意・アメリカ原油在庫の減少・ロシアが減産協議に参加の可能性など、原油価格に影響を与えるニュースが続きます。WTI価格が50ドル台をキープし、相場環境が急転した感があります。本格的な原油価格の上昇は来年夏あたりを見込んでいますが。今回が前哨戦といったところでしょうか。原油価格が大きく上昇した場合の為替市場を予測します。

昨日の記事も参考に

まず、買いたい通貨ですが、ずばり「ロシアルーブル」と「ノルウェークローネ」です。エネルギー資源輸出国で、経常収支が黒字として順当な選択肢だと思います。
エネルギー資源輸出国としては、カナダやメキシコも考えられますが、経済規模に対して、エネルギー資源輸出量が少ない、経常赤字、対外債務が増加中、資産バブルの懸念があるなど、ロシアやノルウェーと比較すると見劣りすることになります。タイミング的に、世界的な信用収縮と重なる可能性が高いため、カナダドルは買いにくいというのもあります。
その他では、エネルギー資源の純輸出国ではないですが、原油の生産があるブラジルも直近では経常黒字になっているようで、面白い存在になる可能性があります。


売りたい、売りで持ちたい通貨ですが、「ニュージーランドドル」・「トルコリラ」です。為替水準が割高で、経常赤字が大きくなっている国の中で、エネルギー資源の輸入額が大きめの国です、トルコは原油生産がありますが、成長エンジンが弱く、貿易環境厳しめです。ニュージーランドは、特に強調できるとこがなく、原油価格上昇の影響をもろに受けることになりそうです。
日本円や南アフリカランドがエネルギー資源価格の影響が大きい国ですが、日本円はリスクオフ環境では売りづらく、現状も大きめな経常黒字国なので除外、南アフリカは、どちらかというと輸出品であるプラチナやパラジウムの価格で、交易条件が大きく変わってしまうため、不適格と考えました。


★トレードアイデア

・USD/RUB  S
・NZD/NOK  S
・EUR/TRY   L

変な通貨ペアがないかなとサクソバンクさんを眺めていたら、「NZD/NOK」というかなりマイナーな通貨ペアを見つけました。これお勧めです。原油価格対策としてもベストですし、リスクオフにも対応できます。かなりいいんではないでしょうか。ノルウェーの金融政策が結構緩和的な方向に向かっているため、上昇は遅めになるかもしれませんが、中長期的に楽しめそうです。


posted by いわくら at 13:19 | Comment(0) | TrackBack(0) | コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2016年10月11日

各国の原油・天然ガス輸出入金額 対GDP比

各国の原油・天然ガスの輸出入金額のGDP比と経常収支の対GDP比です。
プラスが純輸出、マイナスが純輸入国です。

 
原油輸出入
対GDP(2014)
天然ガス輸出入
対GDP(2014)
経常収支
対GDP(2015)
・ アジア・オセアニア


   日本-3.1%-1.6%3.3%
   オーストラリア
-1.6%
1.1%
-4.6%
   ニュージーランド-2.6%0.0%-3.1%
   中国-2.3%-0.2%2.7%
   シンガポール-12.5%-2.1%19.7%
 
・ ヨーロッパ・その他
   ユーロ圏主要4カ国計(※)-2.0%-0.7%**
   イギリス-0.4%-0.3%-4.3%
   スイス-1.3%-0.2%11.4%
   スウェーデン-1.5%-0.1%5.9%
   ノルウェー9.5%(※)6.2%9.0%
   ロシア13.2%3.0%5.0%
   ポーランド-2.6%NO DATA-0.5%
   トルコ-1.3%NO DATA-4.4%
   南アフリカ-5.3%-0.1%-4.4%
 
・ 北アメリカ・中南米
   アメリカ-1.1%0.0%-2.7%
   カナダ3.6%0.5%-3.3%
   ブラジル-0.5%-0.3%-3.3%
   メキシコ1.3%-0.4%-2.8%


元データ 「世界経済のネタ帳」
※ユーロ圏主要4カ国(ドイツ・フランス・イタリア・スペイン)
※ノルウェーの天然ガス輸入金額はデータがなかったため0として計算


タグ:原油価格
posted by いわくら at 10:56 | Comment(0) | TrackBack(0) | 経済データ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする