2016年10月08日

オセアニア通貨の憂鬱

先週のOPECの合意は想定外、アメリカの原油在庫も減少中のようで、原油価格が上昇しています。為替市場としては、雇用統計の影響もあり評価しづらい状況です。しばらく様子見ですが、年末に向けての動きが出てきたのかもしれません。


ここからの中期的な動きとしまして、気になっているのがオセアニア通貨です。どちらかといえば、下落を予想しています。

まずは、オーストラリアから見ていきます。
オーストラリアドルは2013年から弱い動きが続いていましたが、昨年後半からは横ばいからやや値を戻しています。決して強い動きではありませんが、底堅い動きでしょう。
経済を見ると、失業率が低下傾向、貿易赤字もわずかですが縮小傾向にあります。今年前半に鉱物資源価格が底を打ったことが影響していると思われます。住宅価格上昇による資産バブルの影響もあり、内需が好調。個人消費が活発なためか、先進国中最悪クラスの経常赤字が続いています。

ニュージーランドも為替の動きは同じような状況です。2014年からの長期の下落の後、昨年から底堅い動きになっています。
経済はオーストラリアに比べると低成長も、失業率は改善中。貿易関係の指標も、良くなってきている段階です。原油などのエネルギー資源価格の影響が、強く出ることが影響していると考えられます。経常収支の赤字幅はやや大きめです。こちらも住宅価格を中心とした、資産バブルが心配されます。


どちらの国も、資源国のため、2013年からの資源価格下落の影響を強く受け、為替が大幅に下落しました、オーストラリアの主要産業である、鉱物資源や、両国の主力輸出品の食品価格は現在も値を戻しておらず、オセアニア地域経済をもう一歩前進させない原因になっています。為替の調整具合をみても、もう一段落の下落が必要になりそうです。
現状では、中国からの不動産需要や欧州系の金利を求める資本フローがあり、経常収支の赤字を埋めている格好ですが、なんらかの拍子で、資本流出が始まると、一気に大きな下落に見舞われることになりそうです。これはリーマンショック前からの相変わらずの状況なのですが、リスクオフの環境では注意が必要になります。

今後の為替を占う上での注目は原油価格の上昇です。特にニュージーランドは原油価格に非常に敏感なため、影響が心配です。そしてもうひとつは中国です。両国の輸出先としての影響力もさることながら、中国から流出した資金の投資先として、オセアニア地域は人気があります。この資金の動き次第で、オセアニア通貨の動きが決まることになりそうです。


原油価格は中長期的には上昇、中国からの資金も先細りが予想されます。現状では、下落の兆候があるわけではありませんが、オセアニア通貨は中期的に下落目線で見ていた方が、無難と思われます。


posted by いわくら at 07:06 | Comment(0) | TrackBack(0) | コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2016年09月28日

金融政策とアメリカ

為替市場自体は静かですが、アメリカの大統領候補討論会の影響かメキシコペソが高騰しています。長い間低迷していた通貨ですが、底を打ったのかもしれません。今後要注目です。



アメリカの金融政策の話です。
今月の金融政策決定会合では、政策金利は現状維持でした。次の利上げは12月が予想されています。個人的な意見ですが、FRBの利上げは遅きに失したと考えています。利上げは昨年の年初からでよかったでしょうし、現在の政策金利は2%程度が適当ではないでしょうか。そのペースで利上げしていれば、今頃は利上げではなく、利下げを検討する段階だったのかもしれません。

アメリカ経済を見てみますと、悪くありません。失業率は低水準、個人消費が堅調・ダウ平均が最近値下がりしてきましたが、過去最高水準、企業利益も悪くない値です。GDP成長率・インフレ率などを見ても、悪さは見られません。好景気という表現でいいでしょう。
この好景気を生み出したものこそが、FRBの緩和・金利政策なのです。

歴史的な低金利の元、企業・家計・政府ともに借金を増やしています。シェールオイル開発などの理由がある企業は別ですが、多くの企業では、増加した借金の規模ほどには生産性が向上していません。これは社債発行で集めた資金を自社株の購入資金などに当てたからだ出あると考えられます。個人の債務の増加は、当然消費に使われます。これが、資源価格が下落しているにもかかわらず、アメリカの貿易統計が改善しない理由になっています。

アメリ経済全体で考えると、資産価格が増大し、債務が増加、つまり、バブルが形成されているということになります。これは金融制策側から見ると失敗を意味します。緩和政策が長くなりすぎました。

イエレン議長自体はある時期の講演で、株価について言及しており、株価を中心とした資産が、高価格水準にあることは認識しているようでした。しかし、有効な手は打てませんでした。金融政策決定会合では、雇用・成長率・インフレ率などに注目しているようでしたが、中央銀行としては寧ろ、(企業。・個人)債務に注目を集めるべきではなかったのかと思われます。


今後のアメリカ経済ですが、しばらくの間は低金利を利用した、信用の拡大・消費の拡大が予想されます。民間部門での最大のローンである住宅部門が活況のため、バブルのピークはもう少し先になりそうでです。足元で自動車販売が減少していることは気がかりです。大きな動きの前触れになる可能性があります。

為替を考えますとアメリカドルは割高の水準です。貿易赤字の額から見ても、現状水準の維持は難しいと思われます。FRBは12月の利上げを示唆していますが、昨年同様、利上げ直前が為替のピークになる可能性がありそうです。利上げできないようですと、そのときは更なる下落も想定する必要があるのかもしれません。


posted by いわくら at 02:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2016年09月24日

原油の供給過剰はしばらく続きそう

為替市場のイベントは終了し、静かな週末です。しばらくは材料難でしょうか。ヨーロッパがドイツ銀行を中心にややきな臭い感じがしますが、まだもう少し先の問題でしょう。足元では、原油価格に注目です。


原油価格はWTIが42〜46ド台の動き、足元で、OPECの会合を材料に上下しましたが、意味のない動きでしょう。私は今年中ぐらいに需給が均衡し、55〜60ドルぐらいまでは可能性があると予想していましたが、どうやらもうしばらく先になりそうです。原因は供給の過剰感です。

経済制裁が解除されたイランが、順調に生産量を増やす中、サウジアラビア、ロシア、イラクなども過去最高水準の生産量となっています。一時期、カナダ・ナイジェリア・リビアなどがそれぞれの事情で、生産を減らしていましたが、徐々に生産が回復しています。アメリカのシェールオイルも、掘削リグ数が増えてきており、こちらも供給量が増えることになりそうです。
需要面では。一部中国などで、輸入が予想よりも減る可能性がありそうですが、基本的には例年ペースで増加中。こちらは大きな動きはなさそうです。
原油需給の指標になる、アメリカの原油在庫ですが、これからが増加シーズンで、このまま行けば今年も、過去最高在庫量を更新することが予想されています。直近の値では、在庫が予想よりも減少するようなことも起きていますが、先行きは読みづらい状況です。

原油価格の低迷で影響を受ける通貨ですが、当然、産油国は影響が大きくなります。その中でも、カナダドルが心配です。貿易関連の指標の他、消費系の指標も弱めに推移しており、2月以降はやや回復傾向にあった為替が、もう一段階下落する可能性が出てきました。しばらくは弱い動きになりそうです。少し前に、弱い動きと書いたメキシコペソですが、その後も下落傾向が続いています。正直、ちょっと低すぎる水準のようにも感じますが、どうでしょうか。
逆に原油価格下落の恩恵を受けているのは、南アフリカです。輸出品である、貴金属価格がそこそこ上昇し、輸入している原油価格が下落するというのは、南アフリカにとって、最も最高の貿易条件です。貿易収支が、黒字化したことで、国債の格付けがジャンク級に下落するのを回避でき、現在勢いがある通貨です。GDPに対する原油輸入金額が大きく、原油価格下落の恩恵を最も受けた通貨といっていいと思います。その他では、日・中・韓のアジア勢・ニュージーランド・北欧を除くヨーロッパ各国でも、それぞれ恩恵を受けれそうです。


OPECは需給の均衡を来年2017年と予想しています。私も来年中には需給均衡が起こると考えていますが、かなり遅い段階か、再来年の可能性も考えておいたほうが良いと思っています。アメリカのシェールオイル産業は常に想定を超えるスピードで進化しており、この供給力は、絶対に侮ってはいけないと感じています。
原油は多くの為替に直結する商品です。この大きな流れに是非乗っていきたいところです。

タグ:原油価格 WTI
posted by いわくら at 16:09 | Comment(0) | TrackBack(0) | コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2016年09月14日

ユーロのポテンシャル

大きな材料がなく、しばらくは小康状態。模様眺めの展開です。強いて材料を挙げるとなれば、原油価格のてんかいでしょう。OPECの9月月報で、来年2017年のOPEC外地域での、原油供給量の増加が予想されました。原油価格の上値が重い展開は長く続くことになりそうです。


そういった想定の元、今後上昇が期待できる通貨を考えます。中長期的にみて割安水準、経常黒字が、拡大中。エネルギー資源輸入地域。と上昇理由が3拍子揃っている通貨といえば、ユーロです。
ユーロの動きは、リーマンショック後、長らく下落基調が続いていましたが、ここ半年は上昇気味です。資源価格の急落を背景にした、交易条件の改善が考えられます。為替が上昇中にもかかわらず、貿易収支・経常収支が拡大基調なのは、貿易的には非常に強い証になります。
ユーロ圏の経済状況を見ていきます。経済成長率は低成長ですがまずまず?な値。ギリシャ危機時と比較すると、底を脱した感はあります。失業率は改善中も、10%台と高い値が継続中です。この値は、アメリカや日本などの為替主要国の値に比べて突出して高いものであり、この高い失業率の値が長期間の金融緩和を正当化させる理由になっています。また、日米英に比べて、金融政策が効果が発揮されやすい環境にあります。

ユーロ圏で心配されるのは、銀行の不良債権の問題です。もともと、リーマンショック前後に発生した不良債権が処理できていない状態で、さらに資源権益などへの投資が不良化しているため、状態は複雑です。規模も、ユーロ圏経済全体に影響を与える程度まで大きくなっていると思われます。これの処理が進む場合は為替に下落圧力がかかることになります。



原油価格が想定どおり、値が重たくなる場合、ユーロは上昇しやすい状態であると思われます。アメリカの金融政策の影響も受けるでしょうが、対アメリカドル・対イギリスポンドで見て、そこそこの値幅が期待できます。リーマンショックからの調整に時間がかかった通貨です。緩やかで着実な上昇を見てみたいものです。
タグ:ユーロ EUR
posted by いわくら at 02:13 | Comment(0) | TrackBack(0) | コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2016年08月31日

カナダドルは大丈夫か

為替市場はアメリカドル高もやや一服感あり、いわゆる雇用統計待ちの状態なのでしょう。アメリカの金融政策の方向性も気になる雰囲気ですが、個人的には実はそれ程気にしていなかったりします。



気になる産油国カナダの話です。
カナダドルは2月に一度底値をつけ、そこからはやや回復傾向も、最近の原油価格の上値が重い展開を受け、伸び悩んでいます。カナダ経済を見ると、オイルサンド地帯の大規模火災があり、原油生産が大きく落ち込みました、これによりここ数年悪化していた、貿易収支、経常収支の値が、さらに落ち込むことになっています。原油生産は再開された模様ですが、これからの動向が注目です。

もうひとつの注目は住宅価格です。ここ数年カナダ住宅市場では、中国やアジアの富裕層からの資金が流れ込んできており、住宅価格にバブルの心配がされていました。人気のトロントやバンクーバーは世界で最も割高な住宅市場とも表現される場合もありました。しかし最近、この資金流入を防ぐための規制ができたようで、住宅価格は低下しています。この規制による、資金の流れにどのような影響があるかは、難しいところですが、カナダに流入する資金が減るということは、当然カナダドルには、下押し圧力がかかることになりそうです。また住宅ローン市場を通じた信用市場にも影響を与えることになりそうです。



資源国なので、やはり資源価格の影響が大きくなる通貨です。全般的に回復傾向のある資源市場ですが。一時のような高値になることはもしばらくはないでしょう。目先、信用収縮などがあり、一度カナダ経済が調整局面を迎える可能性もあります。将来的には上昇を期待したい通貨ですが、しばらくは様子見が無難なのかもしれません。

posted by いわくら at 12:10 | Comment(0) | TrackBack(0) | コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2016年08月22日

トルコリラ、上がり目と下がり目

週明けの為替市場は方向感の無い展開、材料も特に無く、模様眺め状態が続きそうです。今回は、一時期騒がしかったトルコリラについての考察です。


トルコリラは値は保ってはいましたが、クーデター未遂事件などがあり、不安定な動きでした。現状も割安感は無く、手は出しにくい状態と思われます。貿易収支が中期的に改善傾向を示していますが、直近はそれ程良い値ではなく、もうしばらくは様子見したい状況です。上昇要因と、下落要因を見ていきます。

トルコリラの上昇要因のひとつは資源価格です。トルコは資源輸入国であり、エネルギー資源の他、鉱物資源も大量に輸入しています。これらの価格が低迷していることは、トルコリラにとってプラス材料です。これからも公共投資が増えると考えられますので、この低水準の資源価格の恩恵を受けそうです。
もうひとつは、ロシアとの関係が改善傾向にあることです。昨年のロシア機の領空侵犯事件以降、悪化していた、対ロシア関係が、ここのところ改善傾向にあります。首脳会談が開かれるなど、意識的に改善を図っているようです。エネルギー資源が乏しいトルコと、欧米からの経済制裁で、物資不足によるインフレに苦しむロシアは、お互いを補完し合うパートナーになりえる存在です。この関係改善が進むことは、トルコ経済にとって大きな意味を持ちます。


下落要因では、やはり治安の問題です。クーデター未遂事件もそうですが、より厄介なのは頻発しているテロ事件です。地理条件が厳しいため、致し方ない部分もありますが、経済に対してはマイナス材料です。特にトルコの場合は、他の新興国に比べ、観光収入の割合が高いため、観光客の減少が、交易条件の悪化に繋がることになりそうです。
さらに心配されるのが、エルドアン大統領の政治姿勢です。クーデター未遂事件後、エルドアン大統領は自身への権力の集中を強めていますが、この姿勢が、グローバル企業のトルコへの投資意欲を弱めることに繋がるのではないかと懸念されています。



トルコは新興国の中では、工業化という点では、すでに成功した部類といっていいと思います。しかし安い人件費で工場を建てるという段階は終了して。これからは産業の高度化という難問が待ち構えていると考えられます。資源価格が上昇を始めた場合、(資源のある)他の新興国よりも、経済へのダメージが大きくなる可能性があり注意が必要になりそうです。

posted by いわくら at 22:09 | Comment(0) | TrackBack(0) | コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2016年08月19日

追い風は南アフリカに吹いていた

明らかにタイミングを外してしまったけれど、南アフリカランドの話です。

イギリスのEU離脱決定後の為替市場ですが、アメリカドルが低迷、といっても大きな動きにはならず、世界的に小動きの展開でしょうか。そんな中、南アフリカランドが好調です。主要国の中で最も強い日本円よりも、さらに高い水準で推移しています。インフレ率の差を考慮すると凄い事になっています。

要因は、貴金属資源価格の高騰による、交易条件の改善です。
南アフリカは多くの金属を輸出しており、プラチナ・パラジウムは世界の市場を席巻しています。最近のアメリカドルの不調もあり、投資資金が、金市場に流入、金価格の回復とともに、他の貴金属価格も上昇しています。鉄や銅といった、ベースメタルの価格も上昇傾向にあり、南アフリカの交易条件を押し上げています。2013年からの金属資源価格の下落は完全に反転したようです。南アフリカでは、金の埋蔵が大量に確認されていますが、低コストで採掘できる金は掘りつくしてしまっているため、採掘は下落傾向でした。しかし、今回の価格高騰と下落した為替により、採掘が増加することになり、されに輸出が増えることになりそうです。
輸入面ではエネルギーを石油の輸入に頼っています。この価格も上昇傾向にはあるのですが、1バレル50ドル程度の水準では、現状問題ないようです。アメリカシェールオイル開発の恩恵を受けた格好です。
これらのことにより、直近では貿易収支が大幅に回復しています。資源価格次第ですが、この傾向はしばらく続くかもしれません。

昨年末あたりから、南アフリカランドは低水準にあり、割安な状態でした。財務大臣の更迭などがあり、不安定な価格展開で、売りが殺到した時期もありました。資源価格が下落する状況でしたので、鉱山開発などの大規模な投資も、減少していたと考えられます。足元の価格水準は、まだ割安感はあり、相場全体がリスクオンの状態では、上昇が期待できます。下落因子は対外債務の増加と、原油価格の上昇傾向でしょうか。


南アフリカは、金属資源がメインでエネルギー資源が乏しいという、極端な資源構造です。当然、他の資源国とは異なる為替の動きとなり、特異な存在感を見せる場合もあります。将来的にはシェールエネルギーの開発という話もあるようです。失業率が25%という経済が少しでも良くなるよう期待したいところです。
posted by いわくら at 18:17 | Comment(0) | TrackBack(0) | コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする